慈雨ちゃん


まだ小学生の頃父、が一冊の本をくれました。
壷井栄の童話集かなんかだったと思います。
もう、60年も前の話、あらかた忘れてしまったけれど、
その中で、いまでもふと思い出すのが慈雨ちゃんです。


勉強もよくできて、綺麗ではかなげな慈雨ちゃん
大人になったら尼さんになると言っていた慈雨ちゃん
尼さんというのはキリスト教の修道女のことのようでした。
そんな大好きな慈雨ちゃんが ある日突然亡くなってしまうのです。


町の女学校に進んだ慈雨ちゃんが、満員電車の乗客に押しつぶされて死んでしまうのです。
大きな声一つださず、助けを呼ぶこともせず・・


子供の私は泣きました。そして今でも泣きます。


ただただ悲しいのです・