もうすぐ父の命日です


あの日は雨上がりの暑い日でした
それから 45年のときが流れました


父はおじいちゃんになるまえに
亡くなりました。
笑顔の優しい人でした
歌の大好きな人でした


覚えています
赤い表紙の童謡の本を買ってきて
私たちに教えてくれたことを

大きな体で踊りを踊ってくれた事を


本が好きで
歴史の話や世界の話を沢山してくれたことを


けれども
父は 酒飲みでした
大酒のみでした
酔って暴れて
私たちは畏れ逃げ惑いました


それは
父の悲しみがそうさせるんだと
子供心に感じていました


今はもう悲しみは無くなったのでしょう
そして
きっと
手振り身振りよろしく
歌を歌っているでしょう


いつかまた 一緒に歌おうね



お父さん
ひとつだけお願いがあります


お待たせしましたは可笑しいけれど
この間
お母さんがそちらに行きました


もう会えましたでしょうか?
随分年を取ってしまったから
見間違えたなどと言わないで
迎えてあげてくださいね


やさしい言葉をかけてあげてくださいね


どうぞよろしくお願いいたします


(夏の夕方、西の空に富士山が見えました)