昔ばなしのひとつ

私の祖父は青森県弘前市の出身でした。
130年も前のこと、貧しい津軽の下級士族の長男として生まれ、大変な苦労をしたんだと思いますが、外交官としてそれなりに頑張ったようです。でも私が生まれたときは既に亡くなっており、写真でしか祖父を知りません。


で、ここで書きたいのは祖父の弟、つまり大叔父に当たる人のことです。
貧しい家の三男坊が何を考えたか・・わかる筈もないのですが、満州馬賊になるといって家を飛び出し、それきり行方も知れぬ人となりました。


それから、70年の時は流れて、
ある日、父のもとに1通の手紙が届きました。
遠く九州のとある老人施設からでした。


その大叔父が入所していて、身内である父に引き取ってもらいたいという手紙でした。
青天の霹靂というか、まるで幽霊を目の当たりに見るようなそんな気持ちでありましたが、父もすでに病を得ており、なんとすればよいものやらと悩んでいますうち、今度は亡くなったので遺骨を引き取りに来てくださいという手紙・・


それにしても、よく調べるんですね。
私の家は満州からの引き上げでしたから、住所もかなり変わっていたのに。
当時私たちは鎌倉に住んでいましたが、母と兄とで遺骨を引き取りにまいりまして、それから弘前のお墓に埋葬いたしました。
人騒がせと言っては失礼かもしれないけど、結局誰も生きている大叔父様には会えなかったのです。


それはさておき大叔父は満州馬賊になれたんでしょうか?
だいたい、満州馬賊ってなに?